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答えは必ずある~逆境をはね返したマツダの発想力

答えは必ずある---逆境をはね返したマツダの発想力

答えは必ずある---逆境をはね返したマツダの発想力

  • 作者:人見 光夫
  • 発売日: 2015/02/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

この方はマツダのエンジン技術者で、SKYACTIVの開発時のことを回想しながら、どのように逆境を乗り越えてきたかが書かれています。

逆境とは例えば、欧州では法制的にガソリンエンジン車よりハイブリッド車やEV車が有利となっています。
しかしながら「環境」という意味では、原子力(もしくは自然エネルギー)を使わない限り発電時を含めると石炭発電ではCO2の排出量はむしろ多かったり、会社平均規制であるから、CO2排出量のの少ない車を作ると、一方でCO2排出量の多い車も作れるという問題があります。

つまり、ガソリン車で燃費の良いものを作れば、より環境によく(少なくとも同等)、それであればガソリンで攻めていってもいいではないか、とガソリンエンジンに推進していきました。
また、カタログの燃費と実走の燃費が違うことはよく知られていると思いますが、カタログ燃費で負けても実装燃費では負けないものが作れると信じていました。

燃費改善とはエンジンの効率の改善でエネルギー損失の最小化ですが、突き詰めると制御因子は7つしかなく、世の中にあるあらゆる種類のエンジンもそこからはずれるものはない、ということを確認し、これらを理想に近づければゴールであると考え、それを目指しました。
つまり、根本の原因を見つけ出し抜本的な改善を一貫して目指したということです。

このために、CAE(シミュレーションのひとつ)を活用しました。
しかしながら、CAEは専門のエンジニアが動かすものですが、これまでは設計の妥当性を上層部に説明するための裏付けをとるだけ、という消極的な使われ方がされていて、設計エンジニアも「CAEは求める結果がでればいい」、CAEエンジニアも「言われた通りの結果がでればいい」、というスタンスだったところに、積極的にお互いが介入するように仕向けて設計の効率化に成功しました。

ヘッドピン(ボーリングでの一番狙うべきピン)と呼ぶ、すべての問題を解決するポイントを探し強化することが重要と説いています。
ガソリンエンジンでは高圧縮比をとることで高出力が得られるが、ディーゼルエンジンでは低圧縮比をとる方が良いとされていました。
このように見ると一見、矛盾しているように見えるが重要なのは圧縮比ではなく膨張比を大きくすることでした。
このように、見方を変えると一見矛盾しているものが同じ理論に合うということがあります。
シンプルに表現出来ないものはいいものではない。

このような、「すべての問題を解決するポイント」は理論上は正しくても、実装することは現時点では困難であることは当然ですが、その場合は「次の機種ではここまでやる」という風に進めるとよいというこてです。

まとめ

設計の効率化、評価の効率化、という観点で調べていた時にこの方の話を見つけました。
圧縮比について

普通は少しずつ圧縮比を上げてみて12~13で思うような性能が出ず止めるのであった。だから15など実験さえしようとしない。

つまり、大きな視点での特性を正しく理解せずに、小さな改善をしていては根本の原因を見つけられず真の改善はできない、というようなことを言われていて、自分にも最近思い当たるところがありました。
それは、理論と実験が一致しない現象があって、理論的には線形になるところがどうしても曲線的な特性が出ていました。
しかし、センサーを異なるものに変更したところ線形の特性(しかも1:1の出力特性)が得られ、つまりもともと使っていたセンサーの出力特性が粗悪であったことが根本の問題であった、ということがありました。
もともとのセンサーに対して出力を補正して使っていたのですが、正しくは「センサーを直す」ことだった、というわけです。

まさに「答えは必ずある」だと思ったのです。

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