プログラミング素人のはてなブログ

プログラミングも電気回路も専門外の技術屋の末端が勉強したことや作品をアウトプットするブログ。コードに間違いなど見つけられたら、気軽にコメントください。 C#、Python3、ラズパイなど。

AI・人工知能EXPOに行ってきました


www.ai-expo.jp
結局今年も来ちゃいました。

昨年は出展と出展者の無料セミナー(予約不要)を中心に見てきましたが、今年は特別講演セミナーを中心に見てきました。
s51517765.hatenadiary.jp

9:30過ぎに会場に着きましたが、特別講演の入場開始は10:00なのでそれほど急がなくても入れたようです。
今回は前回よりさらに規模を拡大して開催とのことで、会場が変わっていました。
人手が多くなったためか、携帯のインターネットはずっと接続しにくい状況でした。
お昼ご飯を取得しようとFamilyMartへ行くも、PayPayがつながらないというアクシデントもありました。

特別講演セミナーを中心に紹介したいと思います。
なお、メモをもとに書き起こしているので一部意訳が入っていると思いますのでご了承ください。

メルカリCPOが考える、AI時代のビジネスの変容

(株)メルカリ 取締役CPO
濱田 優貴

メルカリの目標は「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを作ること」だそうです。
AIを用いた画像認識で、出品作業の簡略化や、違反出品の検出を実際に行っています。

日本ではリリースされていないが、アメリカでは出品物の重さをAIで推定するという機能がある(アメリカでは送料は重量できまるため)。

そもそもAIとは、「結局よくわからない」と認識されていると思う。
答えのあるものに答えを出すのは得意だが、答えのないものはヒトのほうが優れている。
ITが情報通信のコストを限りなく限りなくゼロに近づけるものであるのに対し、AIは意思決定のコストを限りなくゼロに近づけるものである。

ITの時代にはほしいものを”能動的”に取得できるようになった(ユビキタス情報社会)がAIの時代には自分が欲しいもの(情報)が自動的に入ってくる(アビエント情報社会)。
これまでは欲しいものがあればAmazonで発注したが、これからは会議が終わったら自動的にUberが呼ばれるようになる。

AI時代に向けて、まずはAIを学習してみることが大事。今からでも間に合う。
GoogleのColaboratoryやAidemyで学習し、googleのAutoMLVisionなどで試すことができる、と紹介されていました。

googleによるカスタマイズできる翻訳サービスも紹介されていました。
cloud.google.com

また、機械学習のコンテストとして有名なKaggleにメルカリの価格推定のコンテストを実施し、賞金を出してサービスの向上を目指すのとAIの開発を推進している。
www.kaggle.com

AIも楽天Amazonのようなインフラになっていき、Amazonは「買う」をインフラにしたがメルカリは「売る」をインフラにすることを目指すそうです(気が付けばそこにあるということ)。

人工知能社会の未来像とNTTが仕掛けるAIビジネス

日本電信電話(株)NTTコミュニケーション科学基礎研究所上田特別研究室室長・NTTフェロー
上田 修功

機械学習(AI)は機能的推論にすぎないので、観測データとモデルがあって成り立ち、データが大量にないと成立しない。
地震のようなものはデータが少ないため難しく、株価のような説明が必要なものに対しては根拠が示せないので難しい。
NTTとして進めていることは、ヒトの知性を模倣するAlphaGoのようなものに対し、ヒトの能力を補強するようなものを考えている。
ヒトと共創するAI、ヒトを支えるAIでQOLを上げることを目指している。
今のAIは渋滞予測はできるが、渋滞が発生しないようにシミュレーションで解消するようなことはまだ出来ず、探っている。

Corevoのサイトで形態素解析などのAPIを公開していて誰でも利用できるようにしている。
www.ntt.co.jp
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人工知能の将来展望と日本の人工知能戦略

AI戦略実行会議 座長/(独)日本学術振興会顧問・学術情報分析センター所長
安西 祐一郎

岩波講座 ソフトウェア科学〈〔知識〕16〉認識と学習

岩波講座 ソフトウェア科学〈〔知識〕16〉認識と学習

1989年発売のこの本のころには今のディープラーニングアルゴリズムは発見されていたが、ハードウェアの性能が全く違う。

今のAIの波が過去と似ている点は「人間の知が過小評価されていること」、「ハードウェアのボトルネック(計算速度)」、「AI予測のあいまいさ」。
スーパーコンピューターアーキテクチャアルゴリズムの相性が重要で、ConversionとRecalentは全くアルゴリズムが違うので、GPUも最適なアーキテクチャで使わなければならない。
今の時代は「かな漢字変換」と同じようなインフラになってきている。
異なる点は「ビッグデータが重要」、「米国が先行し、中国が追いかけている状況」

AIを開発するにはコンピューターサイエンスを学ぶ必要があるが、日本ではここが軽視されていて、コンピューターサイエンスではなくただの情報工学しか学ばれていない。
コンピューターサイエンスとは、アルゴリズム、インタラクション、ネットワーク、開発プラットフォームといった部分に重きを置いているものである。

人間とAIの違いは、人間は相手の心の予測ができ、共有できるが、AIはできない。
社会的推論能力、内部表現の伝達能力といったもの。

中国は国策としてデータを集めているのでビッグデータに強い。
米中は日本の7倍の投資をしていて、政府の戦略も具体的。
NISTによる標準化やアメリカがAIで主導権をとるための政策の議論がされている。
中国も2030年までに、推論、技術、応用でトップを目指すとしている。

ゆたかな世界を、実装する ~Use case から見るAI活用の最先端~

(株)ABEJA 代表取締役社長
岡田 陽介

AIをビジネスに実装する方法

AIをビジネスに実装する方法

日本はAIの革命についてこれてきていない。勉強しないから。なぜしないのか?ディープラーニング検定は勉強に最適。

ディープラーニングで眼底検査から心疾患の予測ができる。未病はビジネスになる。
セル生産のオペレータを画像認識でどの作業に何秒?を解析している。DENSOと。

商業向けのエアコンで部品点数が40万点あるが、40万分の1の故障部品をディープラーニングで特定している。
これによって、修理時間が短くなればCS(Customer Satisfaction)も向上し、コストも低減できる。

日本の問題点
・経営者が技術をキャッチアップできていない。
カイゼンが大好きでInovationにならない。
・ROIが明確なのに投資しない。
・開発しながら運用するということが出来ない、それが当たり前なのに、など。

AIが最適化されると人間より賢くなり支配される。それでいいのか?

AI開発プラットフォームを活用した次世代の予測・最適化技術について

(株)グリッド 代表取締役
曽我部 完

AIは「特別な技術がなくても作れるAI」と「高度なAI」に二極化していく。
ナップサック問題や巡回セールスマン(TSP)問題、運搬経路(VRP)問題といった最適化問題もAIで解いた。
TSPでは学習した訪問先数より多くてもだいたい解けて、一般化できた。

AIは識別問題に関してはだれでも作れて、最適化問題の領域に入ってくる。
スマートシティの交通最適化やサプライチェーンの最適化といった。

最新の人工知能技術とその応用 ~自動車、産業用機器、バイオヘルスケア、パーソナルロボット~

(株)Preferred Networks 代表取締役副社長
岡野原 大輔

自動運転では車線、他車を認識することが必要だがには画像認識の計算速度が必要。
www.youtube.com
強化学習で交差点の中でバックする、といったことを身に着けた。

自動おかたずけロボットはロボット分野ではよく知られていた未解決問題の一つ。認識精度が問題だった。
www.youtube.com
物体を認識しつかみ、正しい場所に収納する。

KaggleでX線写真から肺炎を検出する競技で6位。チームには医師も参加しているが医師でも難しいと。
創薬やバイオマーカー同定などを目指す、メディカルAI学会を立ち上げた。

リリースしたアプリ
塗り絵着色アプリ
paintschainer.preferred.tech

キャラクター自動生成アプリ
crypko.ai

展示の中から気になったもの








まとめ

AIはインフラ(Amazonと同じようなだれでも使えるもの)になりつつありますが、高度な分析を行うためにはきちんとコンピューターサイエンスを学ぶ必要がありということです。
出展のなかにはこれでAI?みたいな程度の低い(僕でも組めるレベル)のものもあるように見えて、チュートリアルをやって「AIできた」と言っているのは趣味ならそれでもいいが、Colaboratoryのような使いやすいツールもあるので自作する必要があるのか?というところも問題になってくるのではないでしょうか。

特別講演の演者だけでなく、AIで起業したベンチャー企業の創業者には東大卒が多い。